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幸せの国フィンランドはメタル天国だった!なぜヘヴィメタルが人気に?

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国民の幸福度が世界で最も高い国の一つとして知られるフィンランドでは、「ヘヴィメタル」が国民的な音楽として親しまれていることをご存じでしょうか。

幸福度が高いと言うとほのぼのとした雰囲気のイメージがありますが、ヘヴィメタルとは真逆のような感じがします。

一体なぜフィンランドでヘヴィメタルが人気なのでしょうか?
今回は、フィンランドのヘヴィメタル事情についてご紹介します。

フィンランドのヘヴィメタル事情

(出典:finlandtoday.fi

フィンランドをはじめとする北欧諸国のイメージというと、森と湖、オーロラ、福祉が充実している国々、スローライフなどが挙げられると思います。
そのイメージとヘヴィメタルには一見共通点はなさそうに思いますよね。

フィンランドとヘヴィメタルの関係について、2016年にバラク・オバマアメリカ前大統領も言及していたことがありました。
相反するイメージを持つフィンランドという国とヘヴィメタルの関係は、それほど興味深いものだったのでしょう。

それでは、フィンランドのヘヴィメタル事情について少し掘り下げてみましょう。

国の人口に対するヘヴィメタルバンドの数が多い

フィンランドには、国の人口1人あたりのヘヴィメタルバンドの数が世界で最も多い国だと言われています。

人口10万人あたり60以上ものヘヴィメタルバンドが存在することになり、フィンランドの総人口が約550万人ほどなので、約3,000ものメタルバンドが活動している計算になります。

街の至る所でヘヴィメタルを耳にする

ヘヴィメタルは決して明るい音楽ではなく、どちらかと言うと暗く重い音楽であるのにも関わらず、街の至る所で耳にします。

例えば、主要なラジオ局でもヘヴィメタルがかかる頻度も高く、カラオケバーでもフィンランドの人々によって多く歌われています。
それくらい、フィンランド国内では市民権を得ている音楽であり、メインストリームのジャンルなのです。

なぜヘヴィメタルが人気なの?

フィンランドとヘヴィメタルのイメージは合わないように思えますが、フィンランド人がヘヴィメタルを好むのは、もしかしたら国民性なのかもしれません。
なぜ、フィンランドでヘヴィメタルが人気なのかを考察します。

シャイで内気な人が多いフィンランド人

(出典:dw.com

フィンランド人は、慎ましく控えめであまり感情を表に出さない人が多いと言われています。

さらに、極寒の暗い冬が長いフィンランドでは、内にこもりがちになり、人に会う機会も減ります。
寒い冬の退屈な暮らしの中でヘヴィメタルは良い刺激なのかもしれません。

フィンランドは、うつ病の罹患率が世界の中でも高いことでも知られています。
幸福度の高い国でありながら、必ずしも国民が日常生活に満足しているとは言えないようです。

このような国民性と生活環境の中で抑圧されているからこそ、ヘヴィメタルで発散したいと感じるのかもしれません。

ヘヴィメタルがフィンランド人を救う

(出典:scandinaviastandard.com

普段は慎ましく控えめであることを誇りに思っているフィンランド人の価値観には、ヘヴィメタルの存在が重要なもののようです。

うつ病の罹患率が高くても、生活の満足度が高く幸福度が世界で群を抜いて高いのは、べヴィメタルによって、普段抑えている感情を発散できるからなのかも。

ヘヴィメタルは、ネガティブな感情を表現した曲が多いことも、その理由の一つでしょう。
ネガティブな感情は持ちたくなくても、生きている以上は避けられないものでもあります。

しかし、普段からそのような感情を外に出すことを控えているフィンランド人にとって、ヘヴィメタルは心の平和を保つ手段の一つなのかもしれません。

フィンランド発、人気ヘヴィメタルバンド5選

(出典:scandinaviastandard.com

実際にフィンランド出身のヘヴィメタルバンドには、どのようなバンドがあるのでしょうか。
数あるフィンランドのヘヴィメタルバンドの中から、代表的なバンドをいくつかご紹介します。

Hanoi Rocks(ハノイ・ロックス)

(出典:discogs.com

「ハノイ・ロックス」は、1980年にマイケル・モンローとアンディ・マッコイを中心にヘルシンキで結成され、1981年にデビューを果たしました。

グラムロックの影響を受けた派手なビジュアルが特徴的で、哀愁のあるメロディアスなナンバーで人気を集めていたバンドです。

デビュー後ほどなくしてイギリスに進出し、ブレイク。
その後、本格的なアメリカ進出を予定していましたが、1984年にドラム担当のラズルが、モトリー・クルーのメンバーであるヴィンス・ニールの運転する車に乗っていたところ、事故に遭い死亡してしまいました。

この悲劇がきっかけとなり、1985年に惜しまれつつも解散してしまいます。
そして、2001年、マイケルとアンディによって待望の再結成を果たしましたが、2008年に再び解散しました。

Amorphis(アモルフィス)

 

(出典:https://www.songkick.com/

「アモルフィス」は、1990年にリードギターのエサ・ホロパイネンとドラムのヤン・レックベルガーが中心となり、フィンランドで結成されたバンドです。

デビュー当初はメロディックデスメタルの楽曲が多かったのですが、フィンランドの民族音楽を取り入れ、哀愁溢れるユニークなヘヴィメタルバンドとなりました。

独特の音楽性は、一部のコアなヘヴィメタルファンに受け入れられなかったこともありましたが、2006年に発売されたアルバム「エクリプス」は、世界でも高評価を得た作品となりました。
日本にも何度か来日しており、ファンも獲得しています。

Children of Bodom(チルドレン・オブ・ボドム)

 

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「チルドレン・オブ・ボドム」は、アレキシ・ライホとヤスカ・ラーチカイネンを中心に、1993年の前身バンドである「Inearthed(インアースド)」の結成を経て、メンバー変更を繰り返した後に結成されたバンドです。

アレキシのギターと、ヤンネ・ウィルマンのキーボードの速弾きが特徴的かつクラシカルなメロディックデスメタルバンドです。

オーセンティックなヘヴィメタルサウンドにアレキシのデスボイスがユニークなことでも多くのファンを獲得していましたが、2019年に主要メンバー3名が脱退し、「チルドレン・オブ・ボドム」としての活動は終了しました。

その後、アレキシは「Bodom After Midnight(ボドム・アフター・ミッドナイト)」というバンドのフロントマンとして活躍しています。

Lordi(ローディ)

(出典:lordi.fi

「ローディ」は、1992年にリーダーのMr.ローディによってフィンランドのラップランド地方ロヴァニエミで結成されたバンドです。

怪物のようなルックスが特徴的なだけでなく、2006年に出場したユーロビジョン・ソング・コンテストではフィンランドのアーティストとして初めて優勝するなど、演奏にも定評があります。

アメリカのバンド「Kiss(キッス)」のビジュアルに影響を受けており、ローディのオリジナルメンバーは、キッスのストックホルムでのコンサートを見に行く船の中で出会い、バンドを結成したほど。恐ろしい風貌に加え、派手な花火を飛ばすなど、過激なパフォーマンスも人気があります。

Turisas(チュリサス)

(出典:turisas.com

「チュリサス」は、ボーカルのマティアス・ニーゴルドとギターのユッシ・ヴィクストロムにより「Köyliö(コユリオ)」という名前で1997年に結成され、1998年にチュリサスを名乗るようになりました。

メンバーのウォーペイントと呼ばれる赤と黒のフェイスペイントを施したユニークなルックスが特徴です。

音楽的には「Manowar(マノウォー)」の影響を受けており、バイオリンとアコーディオンを取り入れるなど勇壮なメロディにも定評があります。

2回来日も果たしており、日本のテレビでも紹介されたことがあります。

まとめ

幸福度の高いフィンランドでのヘヴィメタルの人気の高さには意外性があるように思えますが、フィンランド人にとってはなくてはならない音楽です。

フィンランドのヘヴィメタルバンドの音楽を聴くことで、フィンランドの文化や様式を理解するヒントになるのかもしれません。

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