サンタクロースと言えば、クリスマスに子どもたちにプレゼントを届けてくれるハッピーな存在のイメージがありますよね。
クリスマスが近づくと、子どもたちはサンタクロースの訪れをワクワクしながら待っているものです。
しかし、ドイツをはじめとするヨーロッパには怖いサンタクロースもいるのだとか。
今回は、日本ではあまりなじみのないブラックサンタの謎に迫ってみます。
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ブラックサンタは悪い子にお仕置きをしにやってくる
ブラックサンタは、悪い子にお仕置きをしにやってきます。
ブラックサンタが伝わる国では、親が子どもを叱る時に「いい子にしていないとブラックサンタが来るよ!」などと注意します。
ここでは、ブラックサンタがどんなお仕置きをするのかをご紹介します。
ブラックサンタはうれしくないプレゼントを運んでくる
サンタクロースが、子どもたちが欲しがるプレゼントを運んでくるのに対して、ブラックサンタはお仕置きとして嬉しくないプレゼントを届けます。
それは、ジャガイモや炭、木の棒などで、昔は灰の入った袋で叩かれることもあったそうです。
本来楽しいはずのクリスマスが、残念な日になってしまうのがブラックサンタの力です。
ブラックサンタは悪い子を連れ去ってしまう
ブラックサンタも、普通のサンタクロースのように大きな袋を抱えていると言われています。
しかし、これは子どもたちが喜ぶプレゼントが入っている袋ではありません。
何のための袋かというと、悪い子をとじ込めて連れ去るための袋なのです。
大きな袋に入れられて連れ去られてしまうとは、子どもにとってはとても怖い存在です。
部屋中を豚の臓物だらけにしてしまう
(出典:pretty-attitude.com)
ブラックサンタは、子どもの部屋に忍び込み、ベッドの上や下、部屋中に豚の臓物や血をまき散らすと言われています。
時としてサンタクロースがやってきた後に現れる
ブラックサンタは、サンタクロースが子どもたちのもとへやってきた後に現れることもあるようです。
そして、せっかくサンタクロースが届けたプレゼントを持ち去ってしまったり、一番大切なものを一つだけ持ち去ってしまうこともあります。
ブラックサンタにとっての悪い子とは?
元々のドイツに伝わる言い伝えでは、ブラックサンタが考える悪い子とはお祈りができない子でした。
ブラックサンタがやってくると、まず子どもたちにお祈りができるかどうかを尋ねます。
ブラックサンタの問いに「できる」と答えた子どもには木の実やリンゴなどのプレゼントを贈ります。一方、「できない」と答えた子はブラックサンタによってお仕置きを受けることになります。
つまり、ブラックサンタは信仰心を尋ねており、ヨーロッパならではの歴史を感じさせる言い伝えです。
しかし、現代では、信仰心以外の広い意味での「悪い子」にブラックサンタがやってくると大人たちは言います。
言うことを聞かない子や、いたずらばかりしている子などに対して、「ブラックサンタが来るよ!」と脅し半分でたしなめるようです。
ブラックサンタの正体は?
ブラックサンタとは、いったい何者なのでしょうか?
ブラックサンタはドイツに伝わる言い伝えが発祥で、悪い子どもを懲らしめる「クネヒト・ループレヒト」という人物だと言われています。
このクネヒト・ループレヒトも実在したと言われ、サンタクロースのモデルとなった聖ニコラウスの家来だった人物です。
「クネヒト」は名前ではなく、「しもべ」や「従者」を意味する言葉で、家来だったことを指します。
ドイツには「アドヴェント」と呼ばれる、12月1日から24日までのイエス・キリストの降誕を待つための準備期間があり、子どもたちはクリスマスが来るのを毎日指折り数えて待っています。
ドイツに伝わる言い伝えでは、クリスマスに存在するのは2人のサンタクロースなのです。
一人は子どもたちが待ち焦がれる3~4世紀に居たギリシャ人司教の聖ニコラウスを起源とするサンタクロース。
もう一人が、クネヒト・ループレヒトだとするブラックサンタなのです。
2人のサンタクロースは、クリスマス前の12月6日の聖ニコラウスの日に一緒にやってくると言われています。
そして、2人はそれぞれ子どもたちがしてきた良い行い、悪い行いを記した本を読み上げるのです。
ブラックサンタはどんな格好をしているの?
いわゆる普通のサンタクロースが赤い服にとんがり帽子をかぶっているのに対し、ブラックサンタはどんな格好をしているのでしょうか?
ブラックサンタと言っても、本物のサンタクロースの服を黒くした衣装ではないようです。
言い伝えでは、ブラックサンタは黒いボロ服を着ていることが多いことからブラックサンタと呼ばれるようになったようですが、諸説あります。
他には、動物の毛皮を着ている説や、藁で体を覆っているなどの説があります。
意外なところでは、白馬にまたがっているという説も。
これらは、地域によって違った格好で伝わっているそうです。
容姿も恐ろしい姿で伝わっており、まるで化け物のような不気味な見た目で、長い舌で子どもたちを食べてしまうという説もあります。
ヨーロッパにはブラックサンタに似たような「クランプス」という恐ろしい存在の言い伝えもあります。
半分がヤギのようで半分は悪魔のような、恐ろしい怪物の姿で描かれています。
クランプスもブラックサンタと同様に、悪い子どもを連れ去ったり、地獄へ引きずり込んでしまうと言われています。
クランプスはアドヴェントの期間にクリスマスマーケットに登場したり、ヨーロッパのいくつかの国では、「クランプス・ナイト」と呼ばれるイベントも開催されています。
ブラックサンタは必ずしも悪行を行っているわけではない?
(出典:vol.at)
実は、ブラックサンタは決して恐ろしい怪物なのではなく、良い人という説もあります。
お仕置きのひとつにジャガイモなどの子どもにとってうれしくないプレゼントを贈るというものがあります。
これが、ブラックサンタの善行であるとする考え方があります。
というのも、かつてはとても貧しい国だったドイツ人の主食がジャガイモであることが理由です。
当時の貧しいドイツでは、食料が慢性的に不足していて栄養失調の子どもがたくさんいたと考えられます。
豚の臓物をまき散らすお仕置きも同様に考えられます。
ジャガイモだけでは空腹は満たせても、栄養失調は解消されません。
豚の内臓にはビタミンBをはじめとした栄養素が多く含まれていることから、ブラックサンタは貧しい子どもたちを助けようとしていたと考えられることがあります。
まとめ
日本ではほとんどなじみのないブラックサンタですが、世界各地に似たような存在があります。
日本のなまはげもそのひとつでしょう。
しかし、ブラックサンタの存在の背景には、ヨーロッパの歴史で無視できないキリスト教信仰の影響が見受けられます。
現代でもクリスマスイベントなどに現れるブラックサンタという存在を通じて、ヨーロッパの文化への理解を深めることができるかもしれません。
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