近年、日本でもキャンプがブームとなっており、スウェーデントーチ(スウェディッシュトーチ)という言葉も耳にするようになりました。
実用性も高く、一度アウトドアアクティビティに取り入れると楽しみが倍増することでしょう。
そこで今回は、スウェーデントーチについて詳しくご紹介します。
スウェーデントーチって何?
スウェーデントーチとは切り込みや空気孔を開けた丸太のことで、火を灯して使います。
1本の丸太に火を灯すことで、ストーブと薪が一体化したようになったものです。
スウェーデントーチは、別名「スウェディッシュトーチ」や「ウッドキャンドル」とも呼ばれていますが、実は発祥はスウェーデンではありません。
スウェーデントーチの歴史は古く、元々はフィンランドでかがり火として使われていたものがスウェーデンに伝わり、1600年代の三十年戦争の時にスウェーデンの兵士が使っていたことからスウェーデントーチと呼ばれるようになりました。
現代では、他に薪を使わない焚き火を意味する「セルフフィーディングファイア」のひとつとして、キャンパーたちに親しまれています。
スウェーデントーチは何に使える?
スウェーデントーチは、単なる焚き火としてだけでなく、さまざまな用途に使えます。
その機能性や実用性の高さも人気の理由のひとつとなっているのです。
スウェーデントーチがひとつあるだけで、キャンプやアウトドアアクティビティのクオリティがグッと底上げされるのも魅力です。
明かりや暖をとる
スウェーデントーチは、普通の焚き火と同じように明かりや暖をとる使い方ができます。
普通の焚き火とは違った風情があり、眺めているだけで癒されるのも魅力です。
薪を足さなくても数時間燃え続けるので、スウェーデントーチの見え方の変化も楽しむことができます。
いつもとは違った焚き火の体験もスウェーデントーチの楽しみ方のひとつです。
料理に使う
スウェーデントーチは丸太の側面に切り込みを入れるので、そこから空気が入り炎と熱が上に出るようになっています。
とても火力が強いので、料理に使えるのもスウェーデントーチの楽しみ方のひとつなんです。
使い方も簡単で、火をつけたスウェーデントーチの上にフライパンやスキレット、鍋などを乗せるだけ。
火の通りを均一にする五徳のような道具を使えば、アウトドアでおいしいステーキなども簡単に上手に焼けます。
映える風景を写真や動画におさめる
木の幹に入れた切り込みから炎が燃え上がる風景はとてもフォトジェニックで、スウェーデントーチの魅力のひとつです。
特に夜の暗がりの中で燃え上がる炎の風景は、とても幻想的で心癒されるひととき。
スウェーデントーチ作りに必要な材料と道具は?
実際にスウェーデントーチを作るには、何が必要なのでしょうか?
ここでは、スウェーデントーチ作りに必要な材料と道具について解説します。
丸太
スウェーデントーチに欠かせないのが、土台となる丸太です。
丸太はよく乾燥したものが望ましく、含水率は20%以下のものが良いでしょう。
直径15~30cm、高さ30~50cmくらいの大きさのものを選ぶと、キャンプなどでも使いやすくおすすめです。
木の種類によって、スウェーデントーチの特徴が変わります。スギやヒノキ、マツなどの針葉樹は燃えやすく、燃焼スピードが速い傾向にあります。
材質が柔らかいため扱いやすく、初心者でも火をつけやすいのも特徴です。
スウェーデントーチの扱いに慣れている人であれば、クヌギやケヤキなどを選んでもいいかもしれません。
広葉樹は硬いので加工しにくいですが、長時間安定した火力を保つことができます。
チェーンソー
(出典:artofmanliness.com)
チェーンソーはとても危険な道具ではありますが、丸太に切り込みを入れるのに必要です。
スウェーデントーチを作る時には、丸太の直径よりも長いガイドバーのチェーンソーを使うのがおすすめです。
チェーンソーの扱いに慣れている人がいればいいですが、初心者は安全装備を身に着けるなど、注意しながら使用しましょう。
チェーンソーがない場合には、4つに割った薪をスウェーデントーチの形に組み直して作れます。
薪を割る前の丸太の状態になるように立てて合わせ、底になる部分に平な板を釘で打ち付けるだけで完成です。
スウェーデントーチを作ってみよう
スウェーデントーチを作るのに必要な材料を揃えたら、実際に作ってみましょう。
チェーンソーの扱いにだけ注意が必要ですが、それ以外はいたってシンプルで簡単です。
それでは、スウェーデントーチの作り方を見ていきましょう。
まずはチェーンソーで丸太に切り込みを入れる
まずは丸太にチェーンソーで切り込みを入れる作業です。
チェーンソーは扱いを間違えると大けがをしてしまう可能性があるので、注意が必要です。
作業をする時には、必ず平坦な場所で丸太が安定するように土や石などで固定して行いましょう。
切り込みは、丸太を縦に置いて垂直に2~4本チェーンソーで切り入れていきます。
弱めの火を長持ちさせたい場合には切り込みを少なく、強い火力がほしい時は切り込みを多く入れます。深さは大体地面から5~10cmくらいの高さで大丈夫です。
着火剤を仕込む
丸太の切り込みの中心あたりに、着火剤や木くず、小枝などを仕込んでいきます。
着火剤を下に入れ、木くず、小枝を乗せていくと燃えやすくなります。
使い方は簡単!しかし、注意点も
使い方もいたってシンプルです。
丸太の切れ目に仕込んだ着火剤にバーナーなどで火をつけるだけで燃え始めます。
スウェーデントーチは、切れ目から空気が入ることでちょうど煙突のようになり、そこに発生する上昇気流で燃え続ける仕組みです。
一度着火すれば、その後は何もしなくてもしばらく燃え続けます。
このように使い方は簡単なスウェーデントーチですが、いくつか注意したい点もあります。
ひとつずつ見ていきましょう。
最後までしっかり燃やし切る
スウェーデントーチを利用する上で、後始末も重要です。
火を扱うものなので、しっかり消化して後始末をする必要があります。
スウェーデントーチが燃え始めてしばらく経つと、燃えた部分からどんどん崩れていき、最終的には全ての木が崩れ落ちます。
その段階になると、普通の焚き火をしているような状態です。
切れ目の入れ方にもよりますが、スウェーデントーチが燃え尽きるまでにかかる時間は大体3~5時間ほど。
最後まで燃やし切るのが理想ですが、時間が足りない時などは水をかけて消火する方法もあります。
水をかけても火が消え切っていないこともあるので、必ずきちんと消えているかを確認しましょう。
スウェーデントーチを利用する時は、終了する時間から燃え尽きるまでの時間を逆算して着火するのがおすすめです。
ルールを守って楽しもう
基本的なことですが、火を扱う以上スウェーデントーチにも危険が伴います。
安全に使うことはもちろんですが、周囲への配慮も必要です。
スウェーデントーチは丸太に直接火をつけるものなので、着火後しばらくすると燃えた部分が崩れ落ちていきます。
火がついた状態で地面に落ちていくこともあるので、キャンプ場などで利用する際には直火OKの場所を選びましょう。
後始末も含め、ルールとマナーを守ってこそ楽しめるスウェーデントーチです。
まとめ
スウェーデントーチでは、いつもと違う焚き火の雰囲気、面白さを味わうことができます。
暖をとり、調理にも使え、エコの観点からも今の時代に見直したい魅力があります。
自分で作るには、丸太の手配やチェーンソーの扱いが不安という方もいることでしょう。
そんな時には、ホームセンターなどですでに出来上がったスウェーデントーチを手頃な値段で買うこともできるのでおすすめです。