北欧インテリアの人気も重なって、寒い冬に、疲れた体に、ホッと温まることができる暖炉のある暮らしに憧れる方も多いでしょう。
しかし、憧れてはいるものの、日本ではまだ馴染みが少なくわからないことが多い暖炉に、なかなか手が出せずにいるのではないでしょうか。
今回は憧れの暖炉の魅力と、暖炉のある暮らしを後悔せずに手に入れるための注意点について考察していきます。
暖炉の基礎知識
伝統的な暖炉は、煙突と組み合わせて家の中につくられた、木材や石炭を燃やして使用する暖房装置です。
燃料を燃やし炎の輻射熱(放射熱)をつくり、その熱を利用して室内全体を温める仕組みになっています。
そのとき発生する煙は、煙突を通って室内から出るので安全です。
また暖炉は、温かさを提供するだけではありません。
人は揺れる炎を見ていると、なぜだか癒やされます。
それは、波の音や風の音などにもある「1/fゆらぎ」(エフぶんのいちゆらぎ)と呼ばれるリラックス効果があるから。
炎のゆらぎとホッとできる穏やかな温かさが、居心地の良い空間をつくり、寒い冬に家族や友人と、暖炉の前でくつろいだり、会話を楽しんだりできる団らんの場にしているのでしょう。
このように暖炉は、寒い冬に体を温めるだけではなく、家族の幸せの象徴とも言えます。
暖炉のタイプ
大きく分けて2つのタイプがあります。暖炉と薪ストーブの違いはここにあります。
埋め込み型
一般的に暖炉と言えばこのタイプです。
埋め込み型とは、欧米などにある家の壁に炉が埋め込まれた伝統的な形で、炉と煙突が外壁や部屋の壁と一体になっている、このタイプを指します。
埋め込み型は、スペースを節約してシンプルなデザインで洗練されたモダンな雰囲気を演出できます。インテリアの一部として炎の美しさをより際立たせるために、暖炉のまわりをレンガやインテリアで飾ったり、お部屋のアクセントとしたり、機能性、デザイン性とも高いタイプになります。
快適でおしゃれな空間をつくりながら、効率的にお部屋を温めることができるのが、埋め込み型暖炉です。
据え置き型
いわゆる薪ストーブがこのタイプです。
埋め込み型は家の壁に埋め込まれたものですが、据え置き型は炉自体が自立していて、煙突は室内に露出しています。
据え置き型は、お部屋を効率的に温められるので、暖房能力に優れ実用性を重視したタイプになります。
しかし、最近では、耐熱ガラスを使うことで360°方向から炎を見ることができるなど、埋め込み型と比べても劣らずデザイン性に優れたものもあります。
また、据え置き型の薪ストーブなら、埋め込み型の暖炉より、比較的簡単に設置することができます。
暖炉の種類
暖炉には、暖炉に使う燃料の違いで大きく4つの種類があります。
薪暖炉
薪は、暖炉の燃料として最も一般的なもので、針葉樹と広葉樹があります。
油分が多く燃えやすい針葉樹は着火の際に使い、ゆっくりと燃えて火持ちが良い広葉樹を燃料として使うことがおすすめです。
最近では、1束数百円程度でオンラインショップなどでも簡単に手に入ります。
もちろん、森林組合に掛け合って伐採から行って、自分で薪をつくることも可能です。
ガス暖炉
ガス暖炉は、ガス会社などから販売されているタイプで、天然ガスやプロパンガスを燃料としてお部屋を温めます。
ボタンやリモコンで簡単に点火ができ、すすが発生しないので手が汚れることもなく、煙突も排気システムも必要がありません。
手軽に薪暖炉のような炎の美しさをインテリアとしても楽しみたい方には、セラミックでできたフェイクの薪に、燃焼剤を燃やして火をおこすことも可能なガス暖炉はとても人気です。
電気暖炉
電気暖炉はコンパクトなので、コンセントさえあればマンションでも、どこでも好きな場所に置くことが可能。
特別な設置工事も必要がないので簡単に設置ができます。
炎がゆらいでいるように見える薪の部分も、熱くならないので安心です。
電気暖炉のメンテナンスも、電球交換と、簡単な掃除だけで、煙突掃除や薪の管理も必要ありません。
しかも簡単に組み立てられて楽に移動ができ、デザインもサイズも豊富なので、どんなお部屋にも合わせられます。
そしてなにより、1万円ほどから手に入るリーズナブルな価格が電気暖炉の最大の魅力ではないでしょうか。
バイオエタノール暖炉
バイオエタノール暖炉は、リアルな炎が楽しめる魅力がありながら、バイオエタノールと呼ばれる植物由来の液体燃料を使った地球に優しい暖炉です。
煙やにおいがほとんどでないので、煙突も必要ありません。
ただ、二酸化炭素は発生するので定期的な換気は必要になります。
しかしバイオエタノールを使用するので、燃料補充をしなければなりません。
かかるコストは品質によって違ってきますが、他の暖房方法と比べると燃焼効率が良く、燃料ロスが少ないので、比較的低いとされ、燃料補充も簡単で、必要な分だけ使うことができます。
バイオエタノール暖炉のもうひとつの特徴は、伝統的なレンガの暖炉のイメージを覆すようなスタイリッシュなデザインが多いことです。
暖炉がある家のメリット
暮らしの中に暖炉があるとどんなメリットがあるのかをひとつずつ見ていきましょう。
インテリアの一部になる
暖炉自体のフォルムが様になっていて、炎があってもなくても存在自体がおしゃれです。
暖炉のデザインは幅広く、石造りやレンガのような伝統的なデザインを置けば、温かみのあるお部屋が演出できますし、モダンでスタイリッシュなデザインのものを置けば、華やかな印象を与えてくれます。
暖炉は、お部屋の中で存在感を放ち、ステキな空間に演出してくれるインテリアになるでしょう。
居心地の良い空間がつくれる
欧米では、暖炉の上の飾り棚に、家族の写真や、代々伝わるお皿などを飾る風習があります。
暖炉は家族の歴史や思いが飾られている大切な場所の象徴なのでしょう。
そんな暖炉のある場所に、家族や友人が集まって、会話を楽しんだり、炎のゆらぎに癒やされたり、温かい空間を共有することで、自然とコミュニケーションが増え居心地の良い場所になります。
直火料理が楽しめる
暖炉の火を使った直火料理ができます。
ピザや煮込み料理、マシュマロを焼くこともできるので、自宅にいながら、家族でキャンプ料理を楽しむことができるのも暖炉の醍醐味のひとつです。
災害時に役に立つ
緊急時、災害時の際に電気やガスの公共インフラが使えなくなったときでも、明かりとして、調理器具として、暖房器具としての役割を果たしてくれます。
もしものときに暖炉があると助かりますね。
暖炉がある家のデメリット
暖炉のある暮らしを手に入れる際には、もちろんデメリットもあります。「こんなはずじゃなかった!」と失敗しないようにデメリットこそ、しっかり見ていきましょう。
コストがかかる
暖炉を自宅につくる際に必要なものは、暖炉と煙突だけではありません。
それを設置する工事費用もかかります。さらに薪などの燃料費もかかってきます。
メンテナンスと掃除が必要になる
暖炉で薪を燃やしたときにできるすすが煙突の中に溜まります。
すすが溜まると燃焼効率が悪くなり、暖房の効果が下がれば、コストが嵩むことにもつながります。
また、最低でも1年に1度煙突内の掃除をすることで、火事になる原因を減らすことができるので忘れないようにしましょう。
自分で屋根の上からブラシで掃除することもできますが、危険を伴うこともあるので、専門業者に依頼することをおすすめします。
暖炉があると、手間と時間と、継続的なメンテナンスが必要になることを忘れてはいけません。
スペースが必要になる
暖炉を設置するためには一定のスペースが必要で、さらに煙突や排気のためのシステムを設置する場所もいるので、お部屋のデザインやレイアウトを制限してしまうこともあるでしょう。
安全性への懸念がある
薪を燃やすので、火の粉が飛んでくることもあります。
暖炉の近くには、燃えやすいものを置かないようにし、子どものいる家庭では充分に注意して使用してください。
安全のために「ファイヤースクリーン」と呼ばれる柵を、暖炉のまわりに設置するのがおすすめです。
暖炉を設置する際の注意点
憧れの暖炉を設置する際に、忘れてはいけない注意すべきポイントがいくつかあります。
綿密な計画を立てる
暖炉は、お部屋の壁の中に埋め込むことになるので、1度つくると移動することはできません。
お部屋の印象を大きく左右するインテリアにもなるので、家族でお気に入りの場所に設置できるよう、充分に検討を重ねてください。
コストをしっかり考える
暖炉の設置費用もさることながら、暖炉を使う限り必ず長期的に必要になってくる燃料費、メンテナンス費などのコストがかかることを忘れないでください。
換気に注意する
暖炉を使う際には、必ず1時間に1回は、換気を充分に行ってください。
暖炉を使い終わった後でも、火が残っている場合は、一酸化炭素中毒の危険性があるので、煙突のダンパーは必ず開けておきましょう。
一酸化炭素が発生しないバイオエタノール暖炉も、二酸化炭素が発生するので、必ず1時間に1回は換気をおこない、新鮮な空気を取り入れるようにしましょう。
近所に配慮する
煙突が伴う暖炉の場合、煙突の高さも近所の方の迷惑にならないような配慮が必要です。
煙突は、においや煙が発生する他にも、火の粉が出る場合もあります。
暖炉に合った薪を使う
火災の原因やなかなか温まらない原因にもなるので、暖炉に適した薪を使いましょう。
そして、乾燥している薪を使うことが前提です。
1年以上乾燥させて、20%以下の水分量が最適です。
暖炉におすすめの薪
- スギ(針葉樹)
- ヒノキ(針葉樹)
- ナラ(広葉樹)
- カシ(広葉樹)
- クヌギ(広葉樹)
まとめ
体も心も温まり、おしゃれなインテリアとしても存在感のある暖炉はとても魅力的です。
暖炉の魅力を知れば知るほど憧れは強くなりますが、今回ご紹介したデメリットや注意点もしっかり理解したうえで、後悔のない暖炉選びをしていただけたら嬉しいです。
こちらもCHECK
-
家の外壁塗装・屋根塗装を変える前に確認!外壁塗装の目安と流れ
10年前後の周期で行うのがよいとされる外壁や屋根の塗り替え。しかし、塗装し直す時期は材質や塗料の種類によって異なることをご存じですか?もしかしたら、作業をする時期がすでに到来しているかもしれません。そこで今回は、外壁や屋根の塗り替え時期を塗料ごとに紹介していきます!
…続きを見る
家族が集まり長い時間を一緒に楽しく過ごせる北欧風のリビング。こだわりの部屋を作るなら設計や内装の段階から特徴を取り入れる必要があります。しかし、注文住宅は自由度が高いため間取りや壁紙、照明など決める項目が多く、膨大な選択の連続です。打ち合わせで迷ったり悩んだりしないよう、この記事を参考に叶えたい北欧スタイルの理想をしっかりと固めておきましょう。 続きを見る 北欧家具はデザイン性が高く日本でも人気があります。同時に、北欧デザインの住宅にも注目が集まっています。今回の記事では、北欧住宅の特徴と日本の住宅との違い、北欧住宅を取り入れるポイントについてご紹介します。 続きを見る
【注文住宅】おしゃれな北欧風リビングを作るポイントを紹介
北欧住宅が人気の理由とは?日本住宅との違いや自宅に取り入れるポイントを紹介!