TSAロックは必要？意味ない？スーツケースの鍵問題

海外旅行に行く際に、スーツケースを利用する方が多いと思います。
特に海外となると、荷物のセキュリティが気になるのではないでしょうか。

空港でスーツケースを預ける際に、国によって中身を検査されることから、鍵をかけるべきか迷うことはありませんか？
そこで今回は、近年よく耳にするTSAロックについて解説します。

Asuta

スーツケースの鍵問題について迷わないためにも、ぜひ参考にしてみてください。

TSAロックとは

TSAロックとは、アメリカ運輸保安局「TSA(Transportation Security Administration)」によって認可・容認されたロックのこと。
赤いひし形のマークが目印です。

世界の中でもセキュリティチェックが厳しいアメリカで、スーツケースの鍵をかけたまま航空会社に預けることができます。

通常アメリカでは、航空会社に預ける荷物に対し、スクリーニング（透視）検査が実施されます。
TSAのスタッフが荷物を抜き打ちで検査することがあるため、スーツケースなどには施錠しないよう求められています。

鍵をかけていても、抜き打ち検査に当たる場合には、鍵を壊して検査することが認められており、壊されたとしても損害補償はしないとされているので注意が必要です。

TSAロックを解錠するには、TSAスタッフのみが持つTSAロックのマスターキーを使用します。

個人が持つスーツケースには、TSAロックの鍵は付いていないので、スーツケースの施錠はダイヤルロックのみを使うことになります。

スーツケースの鍵の種類

普段、スーツケースの鍵の種類についてはあまり意識しないですよね。スーツケースの鍵には、どのような種類があるのでしょうか。

近年はカードキー方式のものも登場していますが、主な鍵の種類は、ダイヤルロック式、キーロック式、ハイブリッド式の3つです。
一つずつ見ていきましょう。

ダイヤルロック式

（出典：travelsentry.org）

ダイヤルロック式は、スーツケースの鍵の種類の中でも一般的なものでしょう。

通常、3～4桁の暗証番号を設定し、施錠する際にはその番号にダイヤルを合わせます。
鍵を持ち歩く必要がないため、スーツケースを開けるたびに鍵を探す必要もなく、失くす心配もないのがメリットです。

暗証番号の設定もシンプルなものが多く、簡単なのも魅力。

ダイヤルロック式には鍵穴がありますが、鍵そのものは付いていません。

キーロック式

（出典：travelsentry.org）

キーロック式は、その名のとおり鍵を使って施錠・解錠するタイプです。
スーツケースの付属の鍵を使うのが一般的で、ダイヤルロック式と同様、よく見かけるタイプです。

操作方法もシンプルなので、キーロック式を好む方も多いでしょう。

スペアキーのみ取り寄せできることも多いですが、紛失には注意が必要です。

ハイブリッド式

（出典：asialuggage.asia）

ダイヤルロック式とキーロック式が搭載されているのが、ハイブリッド式です。

製品によって異なりますが、一般的にはダイヤルまたは鍵のどちらかで解錠できるようになっています。

一方、施錠する時には、ダイヤルでも鍵でも問題ありません。

キーロック式のように鍵を失くしても、ダイヤルの暗証番号を忘れても、どちらかの方法で解錠できるので、開かなくなるリスクが少なくなるタイプです。

TSAロックが必要な地域とは

（出典：travelsentry.org）

前述のとおり、TSAロックはアメリカ運輸保安局によって認可されています。
アメリカでは、TSAロックのみが許可されており、基本的にアメリカ以外の国ではどのタイプの鍵でも使用できることになっています。

このルールはアメリカ本土だけでなく、ハワイやアラスカをはじめ、グアム、サイパンもアメリカ領なので適用されることになります。

しかし、近年このTSAの有用性が世界で注目されてきています。
もともとはアメリカのテロ対策の一つとして導入されましたが、TSAロックの開発会社Travel Sentry社によると、2024年9月時点では世界の60ヶ国以上、700以上の空港でも使われるようになり、世界標準となりつつあるようです。

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TSAロックの注意点

主にアメリカで適用されているTSAロックですが、注意したい点がいくつかあります。ここでは、TSAロックの注意点をご紹介します。

Asuta

アメリカへの旅行を予定している方は、ぜひ参考にしてみてください。

TSAロックでも壊される可能性がある

アメリカではTSAロックなら安心だと思いますよね。
しかし、TSAロックを使用していても、スーツケースのロック部分が破損した状態で戻ってくるケースがあります。

ひどい場合には、強引にロック部分を壊され、修理が必要なほど破損してしまうこともあるようです。
このような事例から、一部の航空会社ではTSAロックでも施錠しないよう呼び掛けています。

アメリカに旅行をする際には、TSAロックでも壊される可能性があることを覚えておきましょう。
ロックをするかしないかは、どちらにもリスクがあるため、自己判断で決めるしかありません。

TSAロックが壊されても補償されないケースがある

たとえ空港のスタッフによってTSAロックが壊されたとしても、航空会社には補償してもらえない可能性があります。
補償の条件は航空会社によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

補償を受けられる場合でも、TSAロックの破損の補償には、航空会社の専用カウンターで破損証明書を発行してもらう必要があります。
航空会社によっては、その場で申告しないと補償対象外になるケースがあるため、注意が必要です。

スーツケースを受け取ったら、その場でTSAロックが破損していないかすぐに確認しましょう。
破損があれば、航空会社の専用カウンターで相談することをおすすめします。

TSAロックの安全性に注意が必要

（出典：travelsentry.org）

世界的にも有用性が認知されつつあるTSAロックですが、過去にはTSAロックの合鍵が偽造される事件がありました。
TSAロックを解錠できるのは、TSAのスタッフのみであるのにも関わらず、なぜこのようなことが起きたのでしょうか。

原因は、TSAロックの画像の流出でした。
TSAロックにはTSA001～011のバリエーションがありますが、2015年にTSA001～006の画像がネット上に流出し、3Dプリンターで合鍵が作成されてしまったのです。

この事件以降、北米の航空会社を利用しないのであれば、TSAロックは意味がない、使用しないほうが良いと考えが生まれるようになりました。

Asuta

つまり、TSAロックそのものの安全性が疑われ始めたということです。　

スーツケースに鍵をかけない場合の安全対策

「スーツケースには鍵をかけないほうが良いのかもしれない」という考えもあります。

しかし、海外旅行に行く時こそ、スーツケースに鍵をかけないことに不安を感じる人も多いでしょう。
ここでは、スーツケースに鍵をかけない場合の安全対策をご紹介します。

スーツケースベルトの使用

スーツケースの安全対策でおすすめなのが、スーツケースベルトの使用です。
預けたスーツケースは、他のさまざまな荷物とともに運ばれます。

ほかの荷物とぶつかったり、空港スタッフがスーツケースを乱暴に扱ったりすることもあるため、衝撃でスーツケースが開いてしまうこともよくあります。
スーツケースの中身が出てしまうリスクを避けるには、スーツケースベルトを使用するのがおすすめです。

安全対策はもちろんですが、目立つ柄や色のものを選ぶことで、受け取りの際も見つけやすくなるのもメリットです。
安価なので購入しやすく、価値を考えるとコスパの良い対策といえます。

近年は、スーツケースベルトにTSAロックが適用されているタイプもあるので、ぜひチェックしてみてください。

貴重品は預けない

基本的なことではありますが、貴重品はスーツケースなどに入れて預けないようにしましょう。一度預けてしまうと、再び受け取るまではずっと貴重品から目を話している状態になります。

スーツケースが破損して開いてしまったり、誰かにスーツケースを開けられても、気づいた時には何もできないということも考えられるでしょう。
そもそも、スーツケースごと盗まれてしまうこともあり得ます。

貴重品は空港で預けず、手荷物として管理するようにしましょう。

まとめ

アメリカに行ったことがない人は、TSAロックというものを知らないかもしれません。それどころか、スーツケースの鍵について意識を向けたこともなかったかもしれません。

もし、これからアメリカなどへ海外旅行に行く機会があれば、TSAロックは必ず必要です。

Asuta

今回ご紹介した鍵の種類など、ぜひ参考にしてみてください。