北極圏で見られる美しい自然現象であるオーロラ。
その神秘的な光景を、一生に一度は見てみたいと思う人が多いのではないでしょうか。
オーロラを観測できる場所は限られており、天候などによって必ずしも見られるとは限らないため、オーロラ鑑賞はハードルが高いものでもあります。
さらに、オーロラという現象を知る人は多いものの、そのメカニズムを知る人は意外と少ないのかもしれません。
オーロラとはどんな現象?
オーロラとは、北極圏などの極地と呼ばれる場所で見られる発光現象のことで、主に緯度60~70度の範囲で観測されます。
オーロラは地上から約100~500kmの上空で発生するため、「光のカーテン」などと称されることがあります。
オーロラのメカニズム
オーロラの発生に欠かせないのが、太陽の存在です。
オーロラが発生する最初の条件が、太陽が放出している太陽風。
太陽風とは、風と言っても単なる空気の流れではありません。燃え続ける太陽の表面で起こる爆発によってできる、プラズマ状の電子の粒とイオンでできたガスのことです。
この太陽風は、宇宙線や放射線などの地球に有害なエネルギーを持つものですが、磁気圏と呼ばれる磁場がバリアとなって地球を守ってくれています。
しかし、磁気圏も完璧ではなく、大きなエネルギーを持つ太陽風が時に地球の夜側にある磁場のすき間を通って地球に入り込んでしまうことがあります。
このようにして太陽風に含まれるプラズマ粒子は地球磁気圏へと入り込み、磁力によって極地へ運ばれ、地球を守る最後の壁である大気と衝突します。
この衝突によって、大気の酸素原子や窒素分子のエネルギーが動き、電磁エネルギーを生み出すことでオーロラが発生する仕組みです。
オーロラの種類
オーロラは、常に同じ色や形で現れるものではありません。
多くの人が思い浮かべるのが、空に浮かぶカーテン状のものでしょう。
しかし、放射線状に現れるものやアーチ状のものなど、形状はさまざまで、色も毎回同じではありません。
オーロラの形状の違い
オーロラの形状は発生時のさまざまな条件によって変化し、同じものは存在しません。
形状のバリエーションは大きく分けて「アーチ型」、「カーテン型」、「コロナ型」の3種類です。
オーロラの形は、オーロラの活動規模と観測位置によって変化します。
活動の弱いオーロラは遠くに発生することが多く、夜空にアーチ状の光の筋が見えます。
このようなアーチ型のオーロラは、オーロラベルトと呼ばれる地球上で最も頻繁にオーロラが現れる場所の端で見られることが多いのが特徴です。
オーロラと聞いて多くの人がイメージするカーテン型は、活動が活発なオーロラを離れた場所から見た時にカーテンのように揺れ動く様を見ることができます。
最もダイナミックに見えるのが、コロナ型です。
活動が特に活発な時に見られるタイプで、オーロラが発生中の場所の真下にいる時にこのような形状で見えます。オーロラが発生しているエリアが広がる時に見えやすい形状です。
オーロラの色の違い
玉虫色のようにさまざまな色に輝くイメージのオーロラ。その色の違いには高度が大きく関係しています。
プラズマ粒子と大気圏内にある酸素原子や窒素分子が衝突する時にオーロラが発生し、これにより発生したエネルギーが元の状態に戻る時の差分によって色が変化すると言われています。
エネルギーの差によってどのように変化するかというと、エネルギーの差が大きければピンクや紫色、小さければ赤い色、その中間くらいのエネルギーの差では緑色に発光するという特徴があります。
オーロラは日本で見れる?
日本でも古くから「赤気(せっき)」という名称でオーロラが観測されていました。
一番古い記録が日本書紀に記されており、620年頃です。
その後もさまざまな歴史的書物の中で、オーロラが観測されたことが記録されています。
オーロラは日本各地で発生していたようで、京都、鹿児島、北海道などの記録が残されています。
その理由は、昔は現在よりも日本の磁気緯度が高かったことで、本州でもオーロラが観測できたからだとか。
現在日本で見れるオーロラは、低緯度オーロラと言われるものです。
発生したエネルギーが環状に集まるオーロラオーバルと呼ばれる領域は、磁気嵐が起こると低い緯度に下がっていきます。
この時、低緯度オーロラを日本でも観測できることがあります。低緯度オーロラは誰もがイメージするカーテン型のオーロラではなく、空がぼんやり赤く染まるようなものです。
低緯度と言っても、多く見られる場所は国内では比較的高緯度の北海道が中心です。
しかし、1958年には北海道だけでなく、広島県や山口県でも観測された事例がありました。
オーロラが見れる場所9選
オーロラは、カナダやアラスカ、北欧でよく見られます。
キルナ(スウェーデン)
スウェーデンの最北端に位置するキルナは、スウェーデンのオーロラ鑑賞のメッカとも言える場所です。
オーロラ研究で有名なスウェーデン国立スペース物理研究所があることからも、オーロラの街として知られています。
キルナ東部には有名なアイスホテルがあるなど、観光スポットとしても人気です。
キルナでオーロラを見るなら、9月中旬から10月中旬、3月中旬から4月中旬がベストシーズンです。
トロムソ(ノルウェー)
トロムソはノルウェー北部にある北極圏最大の都市です。
北欧のパリとも言われ、大自然だけでなく、ショッピングモールや美術館、博物館なども多い観光スポットとしても人気があります。
またトロムソは北緯約69度に位置し、太陽が一日のうちにほとんど昇らない極夜のある地域です。
そのため、オーロラが鑑賞できる場所が多いのが特徴。
北極圏にありながらも、メキシコ湾流の影響で他のオーロラスポットに比べて気候が温暖なのも魅力です。
ロヴァニエミ(フィンランド)
ロヴァニエミは、フィンランドの北極圏ラップランドにあるサンタクロースが暮らす街として有名な都市です。
サンタクロース村や、大自然を満喫できる観光スポットも多くあります。
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ベストシーズンは9月から3月頃までで、天候が安定しているためオーロラに出会える確率が高い場所として知られています。
イナリ(フィンランド)
フィンランドのイナリは、ヨーロッパで6番目に大きい湖であるイナリ湖のほとりに広がる街です。
イナリ湖には3,000以上もの島々があり、景観が美しい街としても知られています。
イナリ湖は11月から6月まで凍結しますが、凍結していない秋には湖面にオーロラが映る逆さオーロラを楽しめます。
オーロラが出現する条件的には、晴天率の高い12月から3月頃がベストシーズンです。
カンゲルルススアーク(デンマーク領グリーンランド)
デンマーク領グリーンランドのカンゲルルススアークは、世界最大の島として知られています。
空港に直結したホテルがあり、部屋からオーロラが見えることがあります。
晴天率は世界一。オーロラベルトに年中属しており、人口光が少ないこともあり、オーロラに出会える確率も世界最高クラスと言われています。
特にオーロラ鑑賞に適しているのが、9月から4月です。
イルリサット(デンマーク領グリーンランド)
(出典:greenland.net)
イルリサットとは、グリーンランド語で「氷山」を意味する言葉で、グリーンランド西部に位置します。
北半球で最も多くの氷山が生まれると言われる世界遺産「イルリサット・アイスフィヨルド」で有名な街です。
部屋の中からオーロラ鑑賞ができるホテルもあり、氷山とともに大自然の神秘を楽しめる場所です。
ベストシーズンは、カンゲルルススアークと同じ9月から4月になります。
イエローナイフ(カナダ)
世界の中でも最も有名で、オーロラを鑑賞できる確率が高いと言われているのが、カナダのイエローナイフです。
オーロラベルトの真下に位置し、冬の間は空気が乾燥していて晴れの日が多いのもオーロラに出会える確率が高い条件。11月中旬から4月中旬くらいまでがベストシーズンで、世界中から観光客が集まる人気のスポットです。
ホワイトホース(カナダ)
アラスカの隣に位置するカナダ・ユーコン準州の州都です。
ホワイトホースもイエローナイフと並ぶ人気のオーロラ鑑賞で人気のスポットで、市街地のホテルから送迎してくれるオーロラ鑑賞ツアーが盛んです。
さらに、オーロラの鑑賞スポットに宿泊できる施設などもあり、一歩外に出るだけでオーロラに出会えます。
ベストシーズンは、イエローナイフと同じ11月中旬から4月中旬くらいまでです。
フェアバンクス(アラスカ)
(出典:alaska.org)
フェアバンクスも、オーロラの鑑賞スポットとして世界的に有名で、日本からも直行便が出ています。晴天率が高く、オーロラが見える場所に多数のロッジがあり、そこでオーロラの発生を待つことができるのが魅力。
11月から3月頃までがベストシーズンです。
まとめ
自然が生み出す神秘であるオーロラ。日本で見るのは難しいですが、一生に一度は見てみたいものです。
仕組みをしるほどに不思議な魅力を感じるオーロラを、ぜひ一度見に行ってみてください。
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