日本の着物のように、世界には多種多様な民族衣装があります。
民族衣装には、その国の文化背景や伝統などが色濃く反映され、民族のアイデンティティを示すものでもあるでしょう。
ヨーロッパ各国にも多くの民族衣装があり、フィンランドもその一つ。
テキスタイルなどのデザインが有名なフィンランドならではの、かわいらしい民族衣装があります。
フィンランドはどんな国?
フィンランドはスカンジナビア半島の東に位置する国で、ロシアと隣接しています。
世界的に有名なものも多く、世界中から観光客が訪れる人気の国です。
デザイン大国
フィンランドは、世界でも有名なデザイン大国としても知られています。「マリメッコ」や「アラビア」、「イッタラ」などを始めとした生活雑貨や食器、テキスタイルはもちろん、建築なども有名なものが数多くあります。フィンランド生まれの「ムーミン」も、世界中で愛されるキャラクターの一つです。
森と湖の国
フィンランドの国土の70%が森林であり、その割合は世界一。
森林は古くからフィンランドに暮らす人々を支え、今でも大切に守られています。
同じく自然の恵みである湖も多く、その数はおよそ18.8万にも及びます。
世界一があふれる国
フィンランドには、世界一を誇るものがたくさんあります。
2023年には、国連による世界幸福度調査で世界で最も幸せな国に6年連続で選ばれました。
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フィンランド発祥のサウナも、国民の利用頻度、人口に対するサウナの数ともに世界一です。
その他にも、コーヒーの消費量や図書館の利用率など、意外と知られていない世界一がたくさんあります。
国民の95%はフィン人
フィンランドには、フィン人、スウェーデン系フィンランド人、サーミ人、ロマ人などが暮らしています。そのうち最も多いのがフィン人で、国民の約95%を占めています。
古くからフィンランドに暮らす民族はフィン人と、北極圏であるラップランドに暮らすサーミ人で、どちらも旧石器時代頃よりフィンランドに暮らすようになったと言われています。
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フィンランドの歴史
2017年に建国100周年を迎えたフィンランド。
日本ではほとんど知られていない、フィンランドの歴史はどのようなものだったのでしょうか?
フィン人が現在のフィンランドに来たのは先史時代だと言われています。
現在のロシアのヴォルガ川周辺から移入してきたのが始まりで、8世紀から11世紀頃、フィンランドには北部に暮らすサーミ人と南部のフィン人が暮らしていました。
12世紀頃にキリスト教が広まると、北欧十字軍がスウェーデンからフィンランドへ侵攻してきました。フィンランド南部のフィン人が暮らすエリアを制圧したスウェーデンが、フィンランドの実効支配者となったのです。
その後、14世紀から16世紀のデンマーク中心のカルマル同盟、16世紀から18世紀のスウェーデン中心のバルト帝国の時代を経ても、フィンランドは常にスウェーデンの支配下にありました。
19世紀になると、ロシア帝国とスウェーデンの間でフィンランド戦争が始まります。
スウェーデンが敗戦したことにより、フィンランド全土がロシアの統治下に置かれました。
ロシアの支配下にはあったものの、当時のロシア皇帝アレクサンドル2世により、フィンランド内政はフィンランド人に託され、公用語もスウェーデン語とフィンランド語の使用が許されました。
長らくロシア時代が続き、1917年にロシア革命が起こると、その年の12月6日にフィンランドが独立宣言をしました。
しかし、国内の状況は不安定で貧困し、やがてフィンランド内戦が勃発。
西方寄りの資本階級勢力が勝利し、フィンランドはようやく安定の時を迎えます。
その後も第二次世界大戦等の影響を受け、多くの領土を失いながらも、国の独立を維持しています。
フィンランドとロシアの関係はこちら!
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フィンランドの歴史からたどるロシアとの関係
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フィンランドの民族衣装の歴史
フィン人とサーミ人がフィンランドに根付いた歴史は古いですが、民族衣装は18世紀頃生まれた比較的新しいものです。
フィンランドの歴史で触れたように、長らく他国に支配される時代が続く中で民族意識が芽生え、そのシンボルとして民族衣装が生まれました。
特に、長くフィンランドに定住しながら少数派であるサーミ人にはその傾向が強く、結果サーミ人の個性が強い民族衣装になったと考えられています。
現在では日常的に民族衣装を着る人は少ないですが、日本の着物同様、伝統行事や結婚式などの儀式で民族衣装が着用されています。
フィンランドの男性民族衣装
フィンランドの男性の民族衣装は、主にフィン人の「カンサッリス・プク」と、サーミ人の「コルト」が代表的なものです。
フィン人の「カンサッリス・プク」は、地域によってその土地ならではの衣類で作られており、地域特有のデザインや種類なども様々です。
男性の「カンサッリス・プク」
(出典:kansallispuvut.fi)
男性は白いシャツにベストを着用し、七分丈のパンツに白い長めの靴下を履くのが一般的です。
色やデザインは、地域によって大きく変わります。
また、男性は黒い帽子をかぶることも多く、形状は衣装と同じく地域によってシルクハットのようなものや、帽子の高さなど、様々です。
男性の「コルト」
サーミ人の民族衣装「コルト」とは、フェルト地で作られたケープのようなもので、鮮やかな青と赤の組み合わせのカラフルなデザインが特徴的です。
この「コルト」の長さは北から南へいくほど長くなる傾向にあり、デザインも地方ごとに差異があります。
日本ではあまり知られていないサーミ人の男性の民族衣装ですが、世界的ヒットを記録したディズニー映画「アナと雪の女王」はラップランドが舞台になっており、登場人物のクリストフはサーミ人がモデルになっていると言われています。
フィンランドの女性民族衣装
(出典:karjalanliitto.fi)
フィンランドの女性の民族衣装も、主にフィン人の「カンサッリス・プク」と、サーミ人の「コルト」が代表的なもので、どちらも男性のものに比べて女性用は華やかなものが多いのが特徴的です。
女性の「カンサッリス・プク」
(出典:wikiwand.com)
フィン人の「カンサッリス・プク」は、男性用と同様に地域によってその土地ならではの衣類が使われ、地域特有のデザインや種類など、多種多様に渡ります。
女性用は主に白いシャツ、ベスト、スカートが基本のスタイルです。
その上に、エプロンをつけたりバンダナを頭に巻いたりします。
靴下と下着には地域を問わず共通した伝統的なルールがあり、白く長い靴下とレースなどの飾り気のない下着を身につけなければなりません。
18世紀後半に「カンサッリス・プク」が生まれた当時から1970年代までは長めのスカートがスタンダードなスタイルでしたが、1970年代には短めのスカートが流行するなど、時代によってもデザインが変わり続けています。
女性の「コルト」
(出典:scandihome.com)
女性のコルトも色鮮やかなフェルトで織られたもので、雪の多い地域でも映える色が使われています。
女性はワンピースを着ることが一般的ですが、上下分かれているものもあります。
ワンピースの袖や襟、胸元には暖色系の刺繍の装飾があしらわれ、裾のフリルがとても華やかです。
靴がとても特徴的で、「ヌツッカート」と呼ばれるトナカイの皮でできたものを履きます。
つま先の部分がソリのように丸まったかわいらしいブーツですよ!
By Birit Schenk (<a href=”//commons.wikimedia.org/wiki/User:Birit” title=”User:Birit”>Birit</a>) – <span class=”int-own-work” lang=”en”>Own work</span>, CC BY 2.5, Link
まとめ
近年、「アナと雪の女王」のヒットもあり、サーミの文化が注目を浴びています。
フィンランドには、「カンサッリス・プク」と「コルト」という主に2種類の民族衣装があることがわかりました。
フィンランドを旅すれば、民族衣装を身にまとう人々が集まる結婚式やお祝い事に出くわすことがあるかもしれません。
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