スウェーデン 北欧コラム

映画「ミッドサマー」で話題!スウェーデンの夏至祭とは

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スウェーデンを舞台にしたホラー映画「ミッドサマー」をご存知でしょうか。この映画を見た人々の夏至祭のイメージには「スウェーデンの夏至祭は恐ろしいもの」といった言葉が出てきます。しかし実際には、夏の訪れをお祝いするとても楽しく平和な行事です。

今回は、そんなスウェーデンの夏至祭について詳しくご紹介していきます。

「そもそも夏至祭って何だろう?」、「夏至祭でどんなことをするの?」といった疑問にもお答えしていきますので、是非参考にしてみて下さい。

そもそも夏至祭とは何?

北欧の長い冬がようやく明けて、眩しい太陽の日差しを受けられる待ちに待った夏至の日。北欧の人々はそんな夏のシーズンに心を躍らせ、存分にパーティーやイベントを楽しみます。

夏至祭当日は、広場に人々が集まり大きな「マイストング」を立てて、踊り歌いながら夏の到来をお祝いします。演奏とともに大人も子どもも手をつなぎ、輪になって喜びを共有するのがスウェーデンの夏至祭の特徴です。

ダンスを楽しんだ後は、パーティーの始まりです。新じゃがやニシンの酢漬けなどのご馳走をいただき、食後にはいちごのデザートを食べるのが定番。大人は、夜明けまでお酒を飲んで楽しむ人も。おめでたい晴れの日を盛大にお祝いします。

夏至祭の象徴「メイポール」

この日は至るところでメインイベントが行われており、そこで欠かせないのがミッドサマーの象徴となる「メイポール」です。スウェーデンでは「マイストング」と呼ばれていて、中世期にドイツから伝わりました。

マイストングは、白樺の葉とルピナスやマーガレットなどの季節の野花で飾りつけをした大きな柱のことを言います。会場の中心に立てたマイストングの周りを人々が集まって歌い踊ります。

また、現在のような十字架に2つの輪っかが施されているのがマイストングの形の定番となっていますが、地方ごとに異なった形もあり、柱の周りに大きな輪っかがいくつも装飾されているようなものもあります。

ちなみに、会場に集まる人々の中にはその土地の民族衣装を纏った人や「ミッドソンマルクランス」と呼ばれる花冠を頭に飾る人が多く、華やかに着飾ってお祝いするのがスウェーデンの伝統的な風習です。

夏至祭の歴史

スウェーデンの人々にとってクリスマスと並ぶ大切な行事である夏至祭。それは昔からの農業社会が関係していることが分かります。

夏至祭とは、スウェーデン語で「Midsommar(ミッドソンマル)」と呼ばれており、北欧人の重要な祝日の1つです。毎年6月19日から26日の間で夏至に一番近い金曜日と土曜日が祝日となり、お祭りが行われます。

スウェーデンの人々にとってはクリスマスと並ぶ行事であり、夏の到来と五穀豊穣をお祝いして、みんなで町を盛り上げます。

夏至祭は元々、洗礼者ヨハネを祝う日であったことが由来と言われています。しかし、昔から農業社会であったスウェーデンでは、宗教色が薄れていったこともあり、6月の終わりは閑散期でお祝いするのに適していた時期だからという説もあります。

夏至祭にまつわる言い伝え

夏至には、昔から超自然的な力が働いて願い事が叶うと伝えられてきました。そのため、財産や結婚を占ったりすることに最適な日と言われています。

夏至祭のイベントに行くと、色とりどりの花々を編んだ冠を頭に被る若い女性の姿があります。これは夏至の夜に、7種類の花を枕の下に置いて寝ると、夢の中で将来の結婚相手に出会うという可愛らしい言い伝えからそれぞれ手作りしたものです。

また、夏至を過ぎると再び夜が長くなっていくため、悪い精霊が辺りを彷徨って悪さをすると信じられてきました。スウェーデンではかつて夏至祭で焚火をする風習がありましたが、それは悪い精霊を追い払うとともに豊作を願うためだったとも言われています。

夏至祭の流れ

夏至祭の過ごし方は人それぞれで、地域の住民と祝福、サマーコテージで家族や友人と団欒、宴会、BBQ、屋外スポーツを楽しむなど様々です。今回は大きく分けて2つの過ごし方の流れをご紹介します。

大きな広場でマイストングを立ててお祝い

1つ目は、会場の中心にマイストングと呼ばれる大きな柱を立てて皆で歌い踊って祝福する過ごし方です。

まず、夏至祭の準備として野の花を摘んで編み、頭に飾る花冠とマイストングにぶら下げる花輪を作ります。次に木の葉や色とりどりの花々でマイストングの飾り付けをしたら準備は完了です。

夏至祭は夜7時に始まり、マイストングを1時間かけて立てていきます。そして、マイストングが垂直に立てられると、民族楽器の演奏が始まります。その周りを人々が集まって囲み、手を繋いで回ったり、踊ったりして過ごします。

定番のダンスは「カエルのダンス」と呼ばれるもので、映画「ミッドサマー」では、不安を煽るような奇妙な音楽が流れていましたが、実際は愉快で楽しいダンスです。そして、白夜が見られた10時頃にフィナーレを迎えます。

サマーコテージで家族や友人と過ごす

2つ目は、田舎のサマーコテージ(夏の別荘)で家族や友人と楽しみながらお祝いする過ごし方です。

サマーコテージは自然の多い森の中や湖畔に建てられていて、かがり火を焚いてサウナをし、近くの海や湖に入るのが伝統的な風習です。他にも、バーベキューや魚釣りをしたり、カヌーやサップなどのウォータースポーツをしたりして、思い思いに過ごします。

夏至祭の時期は、突然の大雨に見舞われることも多く、雨が降っては室内に入り日差しが戻ったら外に出るというのも、スウェーデンの人々にとっては夏至のあるあるなんだそう。

夏至祭で食べる料理は?

スウェーデンの夏至祭は、日照時間が最も長い6月下旬の週末に行われるため、人々は屋外にテーブルを並べてゆっくりと食事を楽しむのが現代の典型的な過ごし方です。

定番のメニューは、ディルという薬草と塩で茹でた新じゃがや、ニシンを酢漬けにしたシルと呼ばれる食べ物です。他にも、サーモンやデザートのいちごケーキなどがビュッフェスタイルで食卓に並びます。夜にはバーベキューをして、大人はワインやビールを心ゆくまで楽しみます。

まとめ

今回は、スウェーデンの夏至祭についてご紹介しました。映画「ミッドサマー」でイメージした夏至祭とは、全く異なるものを感じられたのではないでしょうか。

日本の夏至は、大きな行事もなくあまり馴染みがないものかも知れませんが、スウェーデンでは1年に1度の重要な日であることが分かりましたね。

北欧の夏至祭は、現地の人々だけでなく、観光客の人も参加可能です。この機会に是非、各国の夏至祭に訪れてみるのも楽しそうですね。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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