冬の寒さが厳しい北欧。
気温の低さもさることながら、日照時間は短く曇る日も多いため、どんよりしたイメージがありますよね。
ですが北欧には、冬を楽しむためのさまざまなアクティビティがあります。
北欧の人々は、厳しい気候の中でも前向きに過ごすため、冬の季節をめいっぱい楽しむための知恵をたくさんもっているのです。
そこで今回は、北欧での冬の楽しみ方について解説します。
北欧でしか体験できないものもありますが、日本の生活に簡単に取り入れられるものもたくさんあります。
日常生活でも、冬を楽しむ北欧流の工夫を取り入れてみてください。
北欧の冬の平均気温は?
「寒さが厳しい」と言われる北欧の冬ですが、実際の気温はどのくらいなのでしょうか。
フィンランドの首都ヘルシンキの12月から1月までの気温は、最高平均気温が1℃、最低平均気温が-7℃です。日本の東京だと平均最高気温が11.9℃、平均最低気温が0.9℃ほどであることから、10℃ほどの差があることがわかります。
加えて、ヘルシンキではいちばん冷え込む日で-10℃や-20℃になることもあります。
スウェーデンの首都ストックホルムでも同様に、平均最高気温は1℃ほどと、ヘルシンキと変わらない寒さです。
北欧の冬の厳しさは気温だけではありません。
日照時間の短さも北欧の冬の特徴です。
日の出は朝9時、日の入りは午後3時ごろと、合計6時間ほどしか日照時間がありません。
日本でも冬は日が短くなるとはいえ、お昼過ぎには暗くなってしまう光景は、ちょっと想像がつきませんよね。
そのうえ、北欧の冬は曇りの日が多いです。
ヘルシンキやストックホルムでは、冬の期間は7割ほどが曇りの日。
日本の冬は晴れの日が多いので、ここも北欧と大きく違うところです。
降雪量も多く、ヘルシンキのあるフィンランド南部では20cmから30cm、北部では60cmから90cmほど積もります。
北欧にならう 冬を楽しく過ごす工夫
気温、日照時間、曇りの日の多さ…これだけ聞くと、北欧の冬は過酷そうだというイメージが湧きますよね。長く続く冬に、気持ちが滅入ってしまいそうです。
ですが厳しい冬の北欧だからこそ、冬を楽しみ、冬とうまく付き合っていくためのアクティビティが充実しているのです。
この章では、北欧の冬を楽しく過ごす工夫をひとつずつ紹介します。
暖かな光に癒される キャンドルの優しい灯り
北欧では、家の照明に凝る人が多いです。
家全体を明るく照らすのではなく、間接照明で光と影のグラデーションを作り、家の中を優しく照らします。
そんな北欧で親しまれているアイテムが、キャンドルです。季節を問わず使われていますが、冬の夜に眺めるキャンドルの暖かな光はまた格別です。
キャンドルの炎のわずかなゆらめきは、「1/fゆらぎ」と呼ばれる、自然界特有のリズムです。室内にいながら自然を感じて癒される、素敵な習慣です。
北欧全体で愛用されているキャンドルですが、一人当たりのキャンドル消費量で言うとデンマークがトップなのだとか。
冬の夜にキャンドルの優しい炎を眺めて過ごすのは、親しい人との穏やかな時間を楽しむデンマークの風習「ヒュッゲ」にぴったりですね。
▼デンマークの「ヒュッゲ」とは?日々の暮らしを楽しく!
また、キャンドルには照明以外の使い道もあります。
クリスマスの4週間前にキャンドルを4本用意し、1週間ごとに1本ずつ灯していきます。
クリスマスの週には4本全てのキャンドルが灯り、これを「アドベントキャンドル」と呼びます。
クリスマスは北欧の一大イベント。
クリスマスの訪れをカウントダウンしながら待つ、北欧らしい風習ですね。
アクティブに冬を楽しむ ウィンタースポーツ
北欧での冬の過ごし方は、室内でまったりと冬を楽しむだけでなく、屋外でアクティブに楽しむ方法もあります。
北欧のウィンタースポーツと言えば、定番なのがスキーです。
スカンジナビア半島で移動のための手段に使われていたのがスキーの起源です。
現代ではスポーツとして楽しまれています。
北欧では、スキー競技のひとつであるクロスカントリースキーがさかんです。
特にスウェーデンでは「ヴァーサロペット」という、500年近くも続く伝統的なクロスカントリーの大会が毎年開かれています。
大人から子どもまで楽しめるそり遊びも、人気のアクティビティです。
そりと言うとボードのような形のものが一般的ですが、ノルウェーのそりは一風変わっています。
「スパルケン」と呼ばれる木製の椅子のような形をしたそりを押し、地面を片足で蹴りながら進みます。
(出典:地球の歩き方)
また、フィンランドのサーリセルカという街では、世界最長のそりコースでそり遊びを楽しめます。
ほかにも犬ぞりやスノーモービルなど、雪深い北欧ならではの冬のアクティビティを楽しむことができます。
寒い冬でも、ウィンタースポーツをして活発に運動すれば体も温まり、気分もリフレッシュできそうですね。
身も心も温まる サウナ
北欧と言えばやはりサウナ。
公共施設としてのサウナがたくさんありますが、自宅にサウナを設置している家庭も多いです。
北欧の人々はサウナが大好きで、一年中サウナを楽しみますが、極寒の冬の季節に入るサウナはまた格別です。
フィンランドのヘルシンキ郊外ではスモークサウナを体験できます。森の中に設置された伝統的なサウナ小屋に入り、小屋いっぱいに充満したスモークをすこしずつ戸外に排出しながら体を温めます。
雪景色とピリッと冷たい冬の寒さが、サウナで温まった体を心地よく冷やしてくれることでしょう。サウナで体を一気に温めて、冬の寒さを乗り切るのもひとつの方法です。
フィンランドやスウェーデンなど北欧諸国では、街のいたるところにサウナが設置されています。冬に北欧を訪れる際は、ぜひ体験してみてください。
スパイスと甘さたっぷりのホットワイン
冬に体を内側から温めるホットドリンク。
冬の北欧で親しまれている飲み物と言えば、ホットワインです。
フィンランドでは「グロッギ」、ノルウェーでは「グロッグ」と呼ばれているホットワインで体を温めます。
北欧のホットワインには、スパイスがたっぷりと入っています。シナモンやクローブ、カルダモン、八角といったスパイスを、オレンジやレモンの皮、生姜、砂糖、赤ワインと一緒に鍋に入れて煮込みます。
さらに特徴的なのは、ホットワインにアーモンドとレーズンを入れることです。ホットワインを飲み、カップの底に沈んだアーモンドとレーズンをスプーンですくって食べるのが北欧流のスタイルです。
りんごなどのジュースがベースのノンアルコールグロッグも市販されているので、子どもやお酒が苦手な人でも楽しめます。
ワインで温まりながら、スパイスの香りと甘さでほっと癒されるドリンクです。
作り方は、材料を全て鍋に入れて煮込むだけと簡単なので、ぜひお家で試してみてください。
まとめ
北欧での冬の楽しみ方について紹介しました。
寒さの厳しい北欧ですが、そんな季節もめいっぱい楽しめる知恵がたくさんあります。
心を癒し、体をリフレッシュさせながら過ごす北欧流の冬の楽しみ方。
キャンドルを灯して穏やかに過ごしたり、ウィンタースポーツをしてアクティブに楽しんだり、サウナやホットワインで体を温めたりと、バリエーション豊かな楽しみ方があります。
キャンドルやホットワインなどは、日本の生活にも簡単に取り入れられます。北欧の人々にならい、寒い冬も楽しく過ごせる北欧流の楽しみ方をぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
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