「フィンランドの動物」と聞いて、真っ先にトナカイを思い浮かべる人は多いでしょう。
フィンランドにはトナカイをモチーフにしたグッズがたくさんありますし、サンタクロースのソリを引いている姿も有名です。
「フィンランドに行ったら、トナカイに会えるかもしれない!」と期待も膨らみますよね。
トナカイってどんな動物?
トナカイは、偶蹄類シカ科の動物で、フィンランド語でporo(ポロ)と呼ばれています。
トナカイはフィンランドをはじめとする北欧や北ヨーロッパ、シベリアなどの亜寒帯や北極圏に生息しています。
体重はオス180kg、メス120kg程度、体長は2m前後の大きさを持つ動物です。
ヒヅメは大きく、雪の上でも歩きやすい形状をしています。
トナカイの特徴といえば、なんといっても大きな長いツノです。
ツノはオスにもメスにも生えており、オスのツノは大きく立派でいくつも枝分かれしていますが、メスのツノは小ぶりでシンプルな形をしています。
シカ科の動物の中で、オスメスともにツノを持っているのはトナカイだけです。
オスのトナカイのツノは秋ごろ、メスのトナカイのツノは夏ごろに自然と抜け落ちます。
トナカイの毛の色は茶色や灰色のものが多いですが、中には黒や白の毛を持つトナカイもいます。
また、トナカイは基本的に草食です。木の根や球根、葉っぱ、草、トナカイゴケなどを食べますが、時には虫や小動物(レミング、ハタネズミなど)を食べることもあります。
ヘラジカとの違いは?
トナカイと似た動物にヘラジカがいます。
フィンランド語でhirvi(ヒルビ)と呼ばれるヘラジカは、トナカイよりも大きく、体長は2.4mから3mほどもあります。
ツノの形状もトナカイとは異なります。
トナカイのツノが細長く枝分かれしているのに対し、ヘラジカのツノはその名の通りヘラのように平たく、先が鋭く尖っているのが特徴です。
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どうしてサンタクロースのソリを引いているの?
トナカイといえば、サンタクロースのソリを引いている姿が有名ですよね。
ですがなぜそもそもトナカイとサンタクロースが結びついたのでしょうか。
トナカイは、北欧の先住民であるサーミと生活を共にしていました。
サーミがソリをトナカイに引かせ移動していたことから、北欧では「ソリを引く動物=トナカイ」のイメージが定着していたのです。
また、サーミは魔法が使えると考えられていました。
サーミが連れているトナカイもまた魔法が使え、魔法の力で空を飛ぶと考えられていました。
北欧発祥であるサンタクロースとソリを引く動物トナカイが結びつくのも、不思議ではありませんね。
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サーミの生活の一部だったトナカイ
前述の通り、トナカイは北欧の先住民、サーミの生活の一部でした。
労働力としてはもちろんのこと、肉は食用、毛皮は加工され日用品と、サーミの人たちにとってなくてはならない存在でした。
サーミのトナカイ料理といえば、トナカイ肉の燻製が有名です。
現代でも、トナカイ料理はステーキや煮込みとして食べられており、トナカイの缶詰もお土産として売られています。
トナカイの皮を使ったサーミの日用品は、ブーツのような形状をしたヌツッカートが代表的です。
トナカイの皮や毛で作られたこのブーツは暖かく、靴底は雪をはじくようになっているので、雪深い土地での生活に欠かせない日用品です。
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トナカイにはどこで会える?
フィンランドに行ったら、ぜひとも実物のトナカイに会いたいですよね。
野生のトナカイに遭遇することは稀
フィンランドでは、野生のトナカイに遭遇することは稀です。
野生のトナカイは個体数が減少しており、絶滅が危惧されています。
フィンランドに生息しているトナカイは、ほとんどが家畜化されています。
住宅街や山の中、森、道路などで見かけることがありますが、ほとんどが家畜のトナカイです。
さらに詳しく
野生のトナカイはフィンランド語でTunturipeura(トゥントゥリペウラ)、家畜化されたトナカイはMetsäpeura(メッツァペウラ)と呼ばれています。
動物園や牧場でトナカイに会える
フィンランドでは、動物園や牧場でトナカイを見ることができます。
トナカイに会える動物園でおすすめなのはヘルシンキ動物園です。
コルケアサーリ島という島全体が動物園になっており、ヘルシンキのカウッパトリやハカニエミ埠頭から水上バスで約20分と、アクセスしやすい場所にあります。
ヘルシンキ動物園ではトナカイ以外にも、クマやクジャクなど150種類以上の動物が飼育されています。
公式サイト:https://www.korkeasaari.fi/
営業時間:平日:10時00分~16時00分、土日:10時00分~18時00分
チケット購入:https://www.korkeasaari.fi/hinnat/#386ea4d9
住所:Mustikkamaanpolku 12, 00270 Helsinki, フィンランド
ほかにもフィンランド最北の動物園、ラヌア動物園でもトナカイを見ることができます。
ロヴァニエミからバスで1時間ほどのラヌアという町にあり、森と一体になった動物園です。
自然の中の遊歩道を散策しながら、トナカイやフクロウ、シロクマ、ヘラジカ、クズリ、オコジョなど、北欧らしい動物の姿を楽しめます。
公式サイト:https://ranuaresort.com/en/wildlife-park/
営業時間:10時00分~16時00分
チケット購入:https://ranuaresort.com/en/wildlife-park/tickets-admission-fees/
住所:Rovaniementie 29, 97700 Ranua, フィンランド
フィンランド中部の北ポフヤンマー県にあるトナカイ牧場、ポロ・パヌマではたくさんのトナカイが森の中で飼育されています。
県都であるオウルから車で45分ほどの場所にあるポロ・パヌマ。トナカイの餌やり体験やファームステイもできるので、機会があればぜひ訪れてみてください。
(出典:PORO-PANUMA)
トナカイに注意すること
前述の通り、フィンランドでは住宅街や道路、森の中などでトナカイに遭遇します。
可愛らしい姿に思わず触れ合いたくなってしまいますが、フィンランドの法律では、トナカイを怯えさせたり邪魔したりしてはならないとされています。
そして何よりも注意しなければならないのは、車とトナカイの衝突事故です。
フィンランドでは年間4,000件以上、トナカイによる事故が発生しています。
トナカイが車道に飛び出してきてぶつかることもあるので、トナカイ出没地域では特に注意が必要です。
トナカイ事故を未然に防ぐため、「Porokello(ポロケロ)」というトナカイ警告アプリを利用するのもおすすめです。アプリユーザーであるドライバーがトナカイ情報を共有するアプリで、トナカイを見かけたら位置をアプリに登録し、他のドライバーに目撃情報を知らせます。
トナカイは車を見ても逃げ出すことはあまりありません。
道路を歩いているトナカイを見かけたら停止して、通り過ぎるのを待ちましょう。
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まとめ
フィンランドを代表する動物、トナカイについて解説しました。
先住民であるサーミと生活を共にしてきたトナカイは、現在でもフィンランドで愛されている動物です。
フィンランドで見かけるトナカイはほとんどが家畜です。
住宅街や山の中、道路などで見かけても近寄らないようにしましょう。
トナカイの姿をじっくり堪能したければ、動物園や牧場に出かけることをおすすめします。
フィンランドの生活や文化に深く関わっているトナカイ。