日本人にとって、グリーンランドとは名前を聞いたことがあるくらいの、馴染みのない土地。
そもそも、国なのかどうかも知らない人が多い場所です。
グリーンランドと聞くと、なんとなく北極圏にあるらしい…ということだけは知っているという人が大多数なのではないでしょうか?
グリーンランドってどんなところ?
意外と知られていないのが、グリーンランドは独立国ではなく、デンマーク領であるということ。
馴染みがないだけに、北極圏にある寒くて小さなイメージがあります。
いったいグリーンランドはどんなところなのでしょう。
世界最北端にある世界最大の島
(出典:visitgreenland.com)
グリーンランドは北極圏にあり、世界最北端にして世界最大の島なのです。
その面積は、なんと日本の国土の6倍に相当する大きさです。
それだけ大きければ大陸と言っても良いのではないかと思いますが、実は大陸の基準の1つに、グリーンランドより大きいというのがあります。
人口密度は世界最小
(出典:visitgreenland.com)
これだけ大きな国土を持つグリーンランドですが、人口密度は世界最小の地域に数えられます。
グリーンランドの全人口が57,000人ほどであるのに対し、1キロ平方メートルあたりの人口密度は0.0026人と、とても人口密度が低いことがわかります。
島最大の首都ヌークの人口は約17,000人で、こちらも世界で最も人口の少ない首都で、総人口を考えると3分の1が首都に住んでいることがわかります。
なぜデンマーク領なの?
(出典:visitgreenland.com)
元々グリーンランドには狩猟民族のイヌイットが住んでいました。
その後、10世紀頃になると、アイスランドからヴァイキングが移住しはじめ、13世紀になるとヴァイキングたちは当時の北欧の強国であったノルウェー王国の支配下に入ります。
やがて15世紀頃になると、気候の寒冷化などによってヴァイキングたちの定住地がなくなっていきました。
18世紀にはノルウェー人の宣教師などが次第に再入植するようになります。
当時ノルウェーはデンマークと同君連合を組んでいましたが、1814年のキール条約でデンマークから分離しました。
しかし、グリーンランドに関してはそのままデンマーク領とされ、現在に至ります。
1979年には、グリーンランドに自治権が与えられ、独自の議会を持つようになりました。
名前の由来 なぜ緑の土地?
(出典:visitgreenland.com)
グリーンランドは北極圏にあり、国土の85%ほどが氷に覆われています。
しかし、グリーンランドとは「緑の島」を意味します。
ほとんどが凍土なのに、なぜグリーンランドと呼ばれているのでしょうか。
グリーンランドの名前の由来には諸説ありますが、最も有力な説は入植希望者を増やすために名付けたというものです。
名付けたのは、当時アイスランドの首領だったエイリーク・ソルヴァルズソン(赤毛のエイリーク)。
出典:Wikipedia
彼はすでにアイスランドを発見し、アイスランドと名付けていました。
しかし、アイスランドという響きは極寒を連想させることから入植者は増えなかったそうです。
そこでエイリークは、グリーンランドという名前にすれば、緑豊かな暮らしやすい土地をイメージさせられるだろうと考え、この名称にしたと言われています。
グリーンランドで有名なものといえば
(出典:visitgreenland.com)
グリーンランドは日本人にとって遠い国で、どんな国なのかイメージしづらい場所ですが、世界的に有名なものもあります。
実は、大自然の島であり、世界遺産も。
グリーンランドの有名なものにはどんなものがあるのでしょうか。
イルリサット・アイスフィヨルド
(出典:visitgreenland.com)
グリーンランドで最も有名なものが、世界遺産のイルリサット・アイスフィヨルドでしょう。
イルリサット・アイスフィヨルドは、グリーンランドの西海岸にあるイルリサットという街の近くのディスコ湾にあるフィヨルドです。
フィヨルドとは、氷によって浸食された複雑な形状の入り江のことで、北欧で多く見られます。
このイルリサット・アイスフィヨルドは、北半球で最も多くの氷山ができるフィヨルドとされ、タイタニック号が衝突した氷山もここから大西洋に流れたと言われています。
イルリサット・アイスフィヨルドは、セルメク・クジャレク氷河という氷河でできたフィヨルドで、世界最速の1日20メートルの速さで移動しています。
そのスケールの大きさ、ダイナミックな景色を見に世界中から多くの人が訪れる観光名所です。
オーロラ
(出典:visitgreenland.com)
グリーンランドは、オーロラ観賞の穴場として人気のある場所でもあります。
実は、晴天率が世界の中でも高く、10月から4月までの平均降水量がたったの4ミリほどしかありません。さらに湿度も低いため、オーロラが出現する条件が揃いやすいのです。
また、グリーンランドはオーロラベルトに位置し、人口密度が低いため人口光が少ないこともオーロラを観賞しやすい条件になっていると言えます。
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南グリーンランドのヴァイキングの住居跡や農地・イヌイットの遺跡
(出典:visitgreenland.com)
グリーンランド南部には、かつてのヴァイキングやイヌイットの生活を垣間見れるロマン溢れる住居跡や遺跡が残されています。
これが、「クヤータ・グリーンランド:氷帽末端におけるノース人とイヌイットの農業景観」として、世界文化遺産として登録されました。
“クヤータ”とは、グリーンランドの南部にある亜寒帯農地のことで、10世紀にアイスランドが入植しはじめたヴァイキングの文化と、イヌイットの猟師の生活、18世紀末から発展したイヌイットの農業共同体の文化を今に残しています。
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グリーンランドの食文化
(出典:visitgreenland.com)
北極圏の厳しい寒さとともにあるグリーンランドでは、その気候の影響によって独自の食文化が育まれてきました。
国土のほとんどが氷で覆われており、南グリーンランドの一部にのみ肥沃な土地が存在します。
そこでは、羊やトナカイ、ジャコウウシが飼育され、少しの野菜や果物が栽培されています。
ほとんどの食べ物には北極圏の魚や哺乳類が使われており、その重要性が現在の地名にも反映されています。
例えば、アンマッサリック(Ammassalik )は「カラフトシシャモが取れる場所」という意味を表し、ガピシリシット(Kapisillit)は「サケが取れる場所」を意味します。
北極圏で採れる魚の種類はとても豊富で、特に有名なのが巨大なオヒョウ。
その他にも、サケ、タラ、マス、メバルなどの魚類と、大きなズワイガニ、グリーンランドエビなどが食べられています。
北極圏ならではの食材として、クジラやアザラシも食されています。
さらに詳しく
グリーンランド料理では、アザラシの肉を煮込んだスアーセットというスープや、クジラの皮と脂肪からつくるメッテックという料理がよく知られています。
旅行する際に知っておくべきこと
(出典:visitgreenland.com)
デンマーク領でありながら、グリーンランドは全く異なった文化を持っています。
デンマークの首都コペンハーゲンからは飛行機で4時間もかかり、時差も4時間あります。
グリーンランドを旅する前に知っておきたい基本情報を見てみましょう。
言語
言語はデンマーク語よりもイヌイット語とグリーンランド語が話されており、英語も通じるところがあまりありません。
物価
通貨はデンマーククローネで、デンマークと同様グリーンランドも物価はとても高いです。
島国は物価が高くなる傾向にありますが、元々物価の高い北欧の中でもグリーンランドは高い方です。
例えば、ホテルは安くて1泊1万円くらいから、イルリサットの街のカフェでのランチなら一人4000円くらいが目安です。
気候
北極圏にあるため気温は年間を通して低く、一番暖かくなる8月でも平均気温は7℃ほどです。
一番寒いのが2月~3月でマイナス8℃ほどまで下がります。
気候の厳しい土地なだけに、ハイキングやクルーズツアーなども、当日の天候次第でキャンセルになる場合があります。
服装
一番人気のシーズンは比較的暖かくなる6月から9月。
この時期でも、寒さに備えて着脱しやすい防寒具を持っていくことをおすすめします。
ハイキングなどに参加する場合には、靴も丈夫で歩きやすいものがいいでしょう。
日差しが強いこともあるので、帽子やサングラスも必須です。
まとめ
未知の国、グリーンランド。
自然の厳しさと同時に、美しさを知ることができる土地です。
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