「白夜(びゃくや)は太陽が沈まない夜」というのは、聞いたことがある人もいることでしょう。しかし、一晩中太陽が沈まないのか、ずっと明るいままなのか、実際に見たことがないと想像がつかない部分もありますよね。
未知だからこそ、白夜には神秘的なイメージを持つ人も多いでしょう。今回は、白夜とは何かということから、白夜の楽しみ方までご紹介します。
白夜とは何か?

「白夜」とは、ミッドナイトサンとも呼ばれる夜になっても太陽が沈まない現象のことです。
北欧の夏は、星空ではなく明るい夜が続きます。なぜ太陽が沈まないのかというと、地球の地軸が太陽の公転に対して斜めになっているからです。
つまり、夏になると北欧の国々がある位置に対して、太陽は地表または水平線をなめるように照らすため、太陽は沈まないまま、また昇ることになります。
水平線下に沈んだとしても、時間を置かずにすぐにまた陽が昇るため、空は明るさを保ちます。
白夜の時期の長さ、日照時間の長さは場所と時期によって異なり、北極圏など北に行くほど白夜になる時期は長くなります。
フィンランドの首都ヘルシンキや、スウェーデンの首都ストックホルムの夏は、夜11時頃まで空は明るいままです。逆に冬には、太陽が昇らない「極夜」という現象が起こります。
白夜で楽しむ北欧の夏至イベント

北欧の人々にとって、夏は長い日照時間とともに毎日を楽しむ季節。
特に夏至は特別な日で、北欧各地で夏至の前夜にさまざまなイベントが開催されます。
北欧諸国の夏至イベントを、いくつかご紹介します。
スウェーデン:ミッドソマー・ダーゲン(Midsommardagen)

スウェーデンの夏至祭「ミッドソマー」は、クリスマスに匹敵するほどの伝統的なイベントのひとつです。スウェーデンに限らず、北欧各地で夏至祭が行われています。
スウェーデンの夏至祭は夏至に近い金曜日に行われ、その翌日の土曜日が「ミッドソマー・ダーゲン」と呼ばれるメインの日。1年で最も光に照らされる時間を家族や友人と過ごし、自然の恵みと命の喜びに感謝し、祝う大切な日です。
伝統的な料理をみんなで味わい、草花で飾ったメイポールと呼ばれる白樺のポールを輪になって囲み、歌って踊り明かします。
フィンランド:ユハンヌス(Juhannus)

フィンランド人にとっても、夏至は大切な日です。
夏至祭「ユハンヌス」を祝う週末は、多くのフィンランド人が郊外のサマーコテージ、サマーハウスと呼ばれる別荘で友人や家族と過ごします。
ユハンヌスの日には、「コッコ(Kokko)」と呼ばれる焚き火をする風習があります。真夜中でも暗闇にならず薄明ですが、煙が悪を追い払うといわれているため、夜になると湖畔や空き地でコッコを目にするでしょう。
また、ユハンヌスの前夜に7種類の花を枕の下に入れて眠ると、将来を共にする伴侶の夢を見るという言い伝えがあります。
白夜で遅くまで明るいこともあり、野外コンサートなどのイベントも多く開催され、夜中まで続くパーティーのあとは湖で泳ぐなど、フィンランド人にとって楽しい夜です。
デンマーク・ノルウェー:サンハンスアフテン(Sankt hans aften)

デンマークでは1日中太陽が沈まない夜はないものの、夏至の頃は夜23時頃まで明るい時間が続き、人々は夏の夜を満喫します。
ノルウェーとデンマークでは、サンハンスアフテン(聖ハンスの夜)という夏至祭が行われます。
魔女などの悪を遠ざけるための焚き火を焚き、コンサートなどが行われるイベントです。
白夜を生かしたアクティビティの楽しみ方は?

寒さが厳しい冬が長い北欧では、夏はアクティブに楽しく過ごせる貴重な時間です。
日照時間が長い白夜を生かして、人々はさまざまなアクティビティを楽しみます。
都市部を離れ、田舎のコテージで過ごす人も多くいます。自然豊かな田舎でバーベキューやハイキング、湖水浴などのアウトドアアクティビティも定番です。
特にフィンランドでは、大自然と共存する時間を好む人が多くいます。
電気や水道も通らない不便さの中に太陽の恵みを感じ、静かで穏やかな自然の中での生活を楽しみます。白夜の時間を楽しむのは、他の北欧の国々も同じです。
ここからは、北欧の人々はどのように白夜を楽しむのかをご紹介します。
サウナやスイミング

白夜を利用して、夜間にサウナやスイミングを楽しめます。
特にフィンランドではサウナが人々にとって日常的な存在であることもあり、湖水浴とともに楽しむ人が少なくありません。
6月以降は湖の水温も温かくなり、白夜の中でのスイミングは幻想的なアクティビティです。
各地で開催されるバラエティー豊かなイベント

白夜が続く季節の北欧は、とにかく太陽の恵みとともに貴重な夏を楽しむシーズンです。北欧各地でさまざまなイベントが開催され、活気があふれています。
フィンランドでは、ラップランドで開催されるミッドナイトサン映画祭やヘルシンキのセウラサーリ島で行われる伝統的な夏至祭、湖水地方のロックフェスティバルなどが有名です。
ノルウェーでは、真夜中の太陽の下を走るミッドナイトサンマラソンが開催されます。ノルウェー北極圏最大の都市トロムソで開催されるマラソンで、世界中から多くの人が参加する人気イベントです。
真夜中のスポーツ

スイミングやマラソン以外にも、真夜中でも沈まない太陽を利用してスポーツを楽しむ人が多くいます。真夜中の幻想的な風景の中でサイクリングやハイキング、カヤック、セーリングなど、夏ならではのアクティビティを多くの人々が楽しみます。
大人だけでなく、子供たちも夜遅くまでサッカーなどを楽しむ光景もめずらしくありません。
白夜を快適に過ごすためのヒント

日照時間が長く、気候も良い季節の白夜は、人々がさまざまなアクティビティを楽しむ季節です。しかし、一方で体内時計など体のリズムを崩しやすい季節でもあります。
いつまでも外が明るいことで時間を把握しにくく、つい夜更かしをしてしまい、寝不足になりがちです。ここからは、白夜を楽しみながら快適に過ごすためのコツをいくつかご紹介します。
遮光対策

白夜の時は外がいつまでも明るいため、熟睡できなかったり、入眠しにくかったりすることがあります。睡眠不足になることで疲れが取れず、だるさを感じることもあるでしょう。
普通のカーテンだけでは光を十分に遮ることが難しいため、遮光カーテンは必須です。それでも隙間から光が入り、眠れないという人もいるでしょう。
遮光を徹底するには、アイマスクなどを利用するのもおすすめ。隙間から漏れる光を遮るには、アルミホイルを窓に貼るといった手軽で実用的な方法もあります。遮光対策をしっかりすることで、睡眠不足を防ぎやすくなります。
規則正しい生活を心がける

基本的なことではありますが、体内リズムを崩さないようにするには規則正しい生活を送るのが大切です。毎日決まった時間に寝て、決まった時間に起きるようにすることで体内リズムを保てます。
ついつい夜更かししがちな白夜でも、規則正しい生活をして貴重な夏を楽しみましょう。
まとめ
1日中太陽が沈まない夜というのは、どのような感じなのでしょうか?日本人にとって想像しにくい白夜ですが、北欧の人々の過ごし方を知ると、体験してみたくなりますよね。
